ケンカを通して子どもが学ぶこと

現場でやってみたこと

― 大人が知っておきたい「関わり方」の基本 ―


ケンカ=悪いもの、ではない

学童や幼稚園、家庭で起こる子どものケンカ。
つい「やめなさい」「仲良くしなさい」と止めたくなりますが、
ケンカは子どもにとって大切な学びの機会です。

子どものケンカは、
自己主張の練習であり、人との付き合い方を学ぶプロセス。
大人のケンカのように「勝ち負け」や「悪意」が目的ではありません。


年齢によってケンカの意味は違う

3歳頃までのケンカ

この時期の子どもは、
まだ社会性が十分に育っておらず、
相手の気持ちを考えたり、折り合いをつけることが難しい段階です。

そのため
危険がないように大人が介入することが必要な時期でもあります。


社会性が育ってきてからのケンカ(4歳以降)

4〜5歳頃になると自発性が育ち、
「友達と仲良くしたい」という気持ちが芽生えてきます。

この時期のケンカは

  • いじめ・いじめられるという感覚はほとんどない
  • 仲良くしたいからこそ起こる
  • 後を引かず、意外とすぐ仲直りできる

👉 関係性を学ぶためのケンカです。


ケンカに大人が入りすぎると起こること

ケンカのたびに大人が仲介したり、
どちらが悪いかを判断していると、子どもは次第に

  • ケンカを避けるようになる
  • 衝突しそうになると、すべて譲る
  • 自分の気持ちを出さなくなる

結果として
「良い子」を演じるようになり、自発性が育ちにくくなることがあります。

発達の視点で見ると、
適切にケンカができる子の方が、健全な状態とも言えます。


大人が介入してよいライン・しないライン

大人が介入するかどうかの判断基準はとてもシンプルです。

  • ✅ 介入してよい
     → けがにつながりそうなとき
     → 安全が守れないとき
  • ❌ 介入しすぎない
     → 言い合い
     → 意見のぶつかり合い
     → 感情の表現

👉 基本は「見守る」


子どもの話は「うのみにしない」

子どもの話は、どうしても
自分の視点だけで語られます。

それをそのまま信じて

  • 親が相手を責める
  • すぐに大人が出ていく

という対応を続けると、
子どもは「親が言ってくれるから大丈夫」と考え、
自分で解決する力が育ちにくくなります。


泣かされて帰ってきたときの関わり方

子どもが泣いて帰ってきたときは、まず気持ちに寄り添います。

◎ 大切にしたいこと

  • 話を最後まで聞く
  • 否定せず、共感する

× 避けたいこと

  • 相手を責める
  • 仕返しを勧める

仕返しは一時的にスッキリしても、
友達関係をさらに難しくしてしまうことが多いです。


兄弟げんかで大切なポイント

親はジャッジしない

  • 「お兄ちゃんが悪い」
  • 「お姉ちゃんなんだから」

このような判断は、
否定された子を深く傷つけてしまいます。

👉 親は裁判官にならない


上の子に「役割」を押し付けない

「お兄さん・お姉さんらしくできる」のは
4〜5歳以降が目安

それ以前に求めるのは、
上の子にとって大きな負担になります。


フォローは1対1で

寝る前など、落ち着いた時間に

  • 「今日は譲ってくれてありがとう」
  • 「お母さん、とても嬉しかったよ」

と、言葉でしっかり伝えましょう。


園や学童での考え方

幼稚園や保育の現場では、
あえて子どものケンカに入らないことがあります。

それによって

  • 子ども同士で決めるのが当たり前になる
  • 大人に答えを求めなくなる

これは将来の人間関係づくりに、
とても大切な土台になります。


ケンカの経験が少なすぎると…

ケンカや交渉の経験が少ないと、
思春期に友達関係を築くのが難しくなることもあります。

現代は

  • 兄弟が少ない
  • 習い事が多い
  • 親が忙しい

だからこそ
一緒に育ち合う友達との関わりがより重要です。


「小さい子には優しくしなさい」は言わない

これは親のジャッジと同じです。

代わりに

  • 小さい子の気持ちを代弁する
  • 橋渡し役に徹する

言葉にできない年齢のときは
「〇〇な気持ちだった?」
→「うん」
→「〇〇ちゃん、〇〇な気持ちだったんだって」

と伝えるだけで十分です。


ケンカを通して子どもは育つ

ケンカを通して子どもは

  • 自分と相手は違うこと
  • 気持ちの折り合い
  • 人との距離感

を学んでいきます。

ケンカは止めるものではなく、育てるもの。
大人ができる一番の支援は、
「出しゃばりすぎないこと」かもしれません。

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